TrailheadのPlaygroundを使ってハンズオンを進めているとき、
「このボタン、表示されないんだけど…?」「指示どおりにやってるのに画面が違う…」
と戸惑ったこと、ありませんか?
その原因、もしかしたらTrailhead Playgroundの“できないこと”にあるかもしれません。
この記事では、「何ができて、何ができないのか?」を整理してみました。
筆者自身も、最初はPlaygroundの仕様をよくわかっておらず、「手順どおりに進めているのに画面が違う」「ボタンが出てこない」など、ハンズオンで何度もつまずきました。
でも、「演習用の環境」だと理解できてからは、スムーズに操作できるようになりました。

Trailheadの手順どおりにやってるのに、ボタン出てこないんだけど…

それ、Playgroundの仕様かも!できないこともあるから、知っておくと安心だよ
この記事を読むと、次のようなことがわかります:
- Playgroundの特徴や制限があらかじめわかる
- ハンズオンでスムーズに進められる
- よくあるトラブルも事前に回避できる
それでは、Playgroundの“できること・できないこと”を見ていきましょう!
Trailhead Playgroundとは?(おさらい)
Playgroundは演習用のSalesforce環境

Trailhead Playgroundとは、Salesforceの学習プラットフォーム「Trailhead」でハンズオン演習を行うための練習専用のSalesforce環境です。
Trailheadには、実際にSalesforceを操作しながら学べるモジュールが多く用意されています。そのため、あらかじめ機能がセットアップされたPlaygroundを使うことで、誰でもすぐに学習を始められるようになっています。
たとえば、オブジェクトの項目を追加したり、フローやレポートを作成したりといった操作も、Playground上で自由に試すことができます。演習に合わせて最初から日本語表示になっているのも、初心者にとって安心なポイントです。
Salesforceの“実際の画面”を使って学習できるのが、Playgroundのいちばんの魅力です。
本番環境やDeveloper Editionとの違いって?
Playgroundは、Salesforceの学習用に用意された「演習専用環境」であり、本番環境やDeveloper Editionとは目的や使い方が大きく異なります。
以下に、本番環境やDeveloper Editionと比較した違いを表にまとめました。
環境 | 用途 | 初期設定 | 自由度 | 主な制約 |
---|---|---|---|---|
本番環境 | 実際の業務で使用 | 導入時に組織ごとに設定 | 制限あり(管理者による) | 実務データに影響、自由な変更は難しい |
Developer Edition | 個人開発・学習・検証 | 必要な設定は手動で | 比較的自由 | ストレージ・APIコール数など制限あり |
Playground | Trailheadの演習用 | Trailheadに合わせて初期設定済み | 一部制限あり | 有料機能不可・外部連携に制約あり |
たとえば本番環境でフローを編集すると、実務の業務プロセスに直接影響を与えてしまう可能性があります。また、レイアウトの変更は組織全体に反映されるため、他のユーザーの画面表示にも影響が出てしまいます。Developer Editionでは自由に設定を変更できますが、Trailheadで使う前提の設定がされていないことがあり、「手順どおりに進まない」と戸惑うことがあります。Playgroundはあらかじめ必要な設定が有効化されており、手順通りに進めやすくなっています。
このように、それぞれの環境には特性と制限があります。それぞれの特性を理解して、目的に合った使い方をしましょう。
基本機能はしっかり使えるPlayground
標準オブジェクト・レポート・フローなどが使える
Playgroundでは、Salesforceの基本機能がしっかり使えます。取引先や商談などの標準オブジェクトはあらかじめ有効化されており、演習中にいろいろな操作を試すことができる環境が整っています。

カスタム項目も追加できるの?

もちろん!たとえば商談オブジェクトに独自の項目を追加したり、条件付きのレポートを作ったりもできるよ
他にも、フローを使った業務自動化の設定など、Trailheadで登場する基本的な機能はほぼカバーされています。
「Salesforceで何ができるのか」をつかむには、Playgroundだけでも十分なのです。
Lightning アプリケーションビルダーで画面レイアウトの変更もOK
画面レイアウトをカスタマイズしたいときもPlaygroundは活躍します。
Lightning アプリケーションビルダーを使えば、ページの表示順を入れ替えたり、関連リストを並び替えたりと、見た目の調整も簡単に行えます。
業務に近い画面操作を体験しながら、「Salesforceのカスタマイズってこういう感じか!」と実感できるのがPlaygroundの魅力です。

商談の画面に、関連する取引先責任者も表示したいな

それもアプリケーションビルダーでできるよ。操作に慣れるにはピッタリ!
Trailheadモジュールの演習には十分対応
PlaygroundはTrailheadの演習に合わせて作られた環境なので、「できないから進めない…」ということは基本的にありません。
レコードタイプの作成や承認プロセス、メールテンプレートの作成まで、モジュール内の手順はほとんどPlaygroundだけで完結できます。
Playgroundではできないこと
Sandboxの作成はできない
Playgroundでは、Sandbox(サンドボックス)環境を作成することはできません。

Sandboxって、テスト用のコピー環境だよね?

そうそう。本番環境をコピーして、安全にテストや検証ができる環境なんだけど、Playgroundではこの機能が使えないんだ
Sandboxは本番環境の一機能として用意されているため、演習用組織として提供されているPlaygroundには含まれていません。
本番環境に近い構成や、データを引き継いだ状態での検証が必要な場合は、Sandboxライセンス付きの本番環境でSandboxを作成して対応することになります。
Einstein系など一部の有料機能は使えない
Playgroundは無料で使える環境のため、有料ライセンスが必要な以下のような機能は使うことができません。
ユーザーライセンス数やAPIなどに制限がある
Playgroundには、ユーザー数やAPI接続の上限など、無料環境ならではの制約があります。
たとえば、追加ユーザーをいくつも作成することはできませんし、API経由で外部システムと連携する際にも、利用可能な回数や接続方式に制限があります。
また、データストレージ容量も少なめで、大量のレコードを扱うには不向きです。

たくさんユーザーを作って試してみたいな〜

同時に2ユーザーしか有効にできないのがちょっと不便ではあるよね
外部サービスとの連携は制約つき、本番連携は不可
PlaygroundとSlackなどの外部サービスを連携すること自体は可能ですが、制約があります。
Salesforceと外部サービスを連携するには、リモートサイト設定やCSPトラストドメインの登録など、いくつかの事前設定が必要です。設定が足りていないと、正しく通信できなかったり、連携に失敗することがあります。
また、Playgroundは演習用として本番環境とは切り離された組織のため、社内システムとの本番連携や実データとの検証には使えません。
Playgroundの制限に関わるつまずきと対処法
Playgroundには、標準機能が使える一方で、ライセンス制限や初期設定の違いなど、独自の制限があります。これらが原因で、モジュールの手順どおりに進められなかったり、チャレンジで正解にならなかったりすることがあります。
ここでは、Playgroundの制限による“よくあるつまずき”とその対処法を、具体的な事例とあわせて紹介します。
画面の違いでつまずいたら
Trailheadの手順に従っているのに、「ボタンが見つからない」「説明と画面が違う…?」と戸惑うことがあります。
これは、Trailheadの説明やキャプチャ画像が古いバージョンの画面に基づいていることが原因の場合が多いです。Salesforceはアップデートにより画面レイアウトが変更になる場合があるため、ボタンの位置や表示名が少し変わっていることがあります。
もうひとつの“あるある”が、モジュール内に書かれている「前提モジュールやユニット」を完了していないケースです。たとえば「前のモジュールで有効化した機能を使う前提」で進んでいるのに、それが終わっていないと、手順通りに進められなくなってしまいます。

“次へ”だけ押してたら、いつの間にか何か飛ばしていたのかも…

Trailheadって、ちゃんと読まないと前提を見落としちゃうことあるから、気をつけたいところだね
焦って何度もPlaygroundを作り直す前に、まずは画面レイアウトの違いや、モジュールの前提条件を確認してみると、意外とすんなり解決することもあります。
チャレンジで正解にならないときのチェックポイント
Trailheadモジュールの最後にある「チャレンジ」で、手順どおりに進めたはずなのに「正解にならない」「エラーになる」といったケースがあります。
これは、Playgroundの状態や細かい設定の違いが原因で、チェックが通らないことがあるためです。
たとえば、以下のポイントを確認してみてください:

また、上記が正しいにもかかわらずチャレンジが通らない場合、言語とロケールを変更してみるのもおすすめです。Trailheadにもメモとして記載されていますので、参考にしてみてください。


英語設定にしてみたらチャレンジが通った!

そうなの!アメリカで作られたものだから、チャレンジのチェックもアメリカ仕様なのかもね
「手順どおりにやったのに正解にならない…」と焦るときこそ、ひと呼吸おいて、これらについて見直してみてください。
「やり直したい」と思ったときの選択肢
Playgroundには、変更前の状態に戻すためのスナップショット機能や復元ポイントが備わっていません。一度行った設定変更は保存され続けるため、途中で元の状態に戻すことは基本的にできない仕組みです。
そのため、「設定を間違えた」「やり直したい」と感じたときは、新しいPlaygroundを作成するのがおすすめです。
Trailheadのチャレンジ画面の下にある「ハンズオン組織を選択」をクリック→「Playgroundを作成」から新しいPlaygroundを作ることができ、数分で初期状態の環境を用意できます。

困ったときは「作り直す」という選択肢があると知っておくだけでも、安心して学習を進められますね。
まとめ
Playgroundは「演習用」と割り切って活用しよう
Playgroundは、Salesforceの操作に慣れるための「学習専用の環境」です。
Trailheadの手順と画面が少し違っていたり、ボタンの位置や名前が変わっていたりすることもありますが、それはSalesforceの画面がアップデートされているからです。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、「これは演習用の環境だから、多少の違いは気にしすぎなくてOK」と割り切って使うのがおすすめです。
また、モジュールの最後にある「チャレンジ」でうまく正解にならなかったとしても、内容をしっかり理解できていれば問題ありません。試験や実務では「答えを覚えていること」よりも「どう使うかを理解していること」がずっと大切です。
完璧を目指すより、「学ぶこと」に集中するほうが、確かな力になります。
Trailheadモジュールを進めるための足がかりとして、Playgroundをうまく使っていきましょう。
もっと自由に使いたいときは開発者アカウントもおすすめ
Playgroundでは物足りない、もっと自由に試してみたい——そんなときは、Developer Edition(開発者アカウント)の利用も検討してみましょう。
Developer Editionは、Salesforceの学習者・開発者向けに提供されている無料の環境で、Playgroundと同様に多くの標準機能が使えますが、「Trailheadに縛られず自由に設計・構築できる」点が大きな特長です。
たとえば、独自のアプリを一から作ってみたり、API連携や設定変更を自由に試したりと、自分のペースで幅広く操作することができます。
ただし、ストレージ容量やAPIコール数といった制限はあるため、本番環境とまったく同じではありません。
それでも、「もっと自由にSalesforceを触ってみたい!」という方には、Playgroundとの併用がおすすめです。自分だけの学習環境として、ぜひ活用してみてください。

Developer Editionも登録してみようかな

うん!私も長いこと使っているDeveloper Editionがあって、もう学習の相棒って感じよ
PlaygroundもDeveloper Editionも、学習のための強い味方。
自分のペースで、Salesforceの世界をじっくり楽しんでくださいね。